君の雪は解けない

「それで、何か関係があるんですか?その‟命じられた”という言葉と」


⋯⋯どうやら、全国No.1の暴走族の副総長は、察しが良いらしい。

今はその察しの良さが辛いけれど、
そんなことを少しでも表情に出してしまえばそれこそ有瀬の思う壺。

だが、彼は眞雪の些細な努力を、あっさりと踏みにじった。


「あるよ。俺に命じたのは、その黎月の若頭だから」


ド直球もド直球。

彼は自分の身元が割れる可能性も厭わず、
あっけらかんと言いのけた。

対する副総長は、流石に意表を突かれたといった表情で固まる。


「⋯⋯そういう、ことですか⋯」

「僕でもその名前聞いたことあるから、なんか凄いんだよね⋯?」

「じゃあ、有瀬⋯さんもヤクザってことか?見えないな」