君の雪は解けない

下っ端を闇討ちされた恨みが少なからずあるのだろう。
それで自分たちも参加したい、と。自分たちが彼らの仇を取る、と。

仲間を想う気持ちはひどく美しい。

だが、———


「ごめんね。正直言うと、入られると迷惑なんだ」


一見困った様子だけれど、口角はゆるりと上がっている有瀬。

眞雪もこれには同意だった。
所々に散らばる力のない者を守りながら戦うのは、手練れでもひどく難しい。

せめて、後方で一ヵ所に集まっているのならば——普通はそう考える。


「そ、う⋯ですか。分かりました⋯⋯」


冷静に諫められ、落ち込んだように地を見つめる伊吹。

さすがに可哀想だと思ったのか、
有瀬は、黒く艶めいた靴をつかつかと鳴らしながら、伊吹に歩み寄る。