君の雪は解けない

つまり、この問いに答えられる人間はこの場に居ないということになる。


「⋯⋯僕たちは、まだ負けたと決まったわけではないよ」


自分達とはまるきり規模の違う組織との争いに絶望を感じていた彼らだったが、
眞雪の余裕そうな微笑に変化の兆しが見える。

主に指示されたこと——眞雪と有瀬の二人で、軌然会を潰すこと。
正直、それは可能と言える。

(この戦い、勝利しか許されない)

主の命令は、絶対。
幼き頃から根深く眞雪を支配している意識だった。

だから。


「僕たちの戦力になる人を、知っているんだ」


あくまでも、ただの助っ人として有瀬には関わってもらう。

それが、眞雪の願望と主の命令を両立させた最善の選択だと、信じているから。