君の雪は解けない







早くも2週間が経った。

相変わらず白蓮は、軌然会から嫌がらせを受けている。
今 皆が取り囲むそれも、嫌がらせの一環だと思われるものだった。


「⋯⋯なにこれ」


眞雪が目を落とす先は、一輪の花。

いかにもと言った風貌の——赤黒い、薔薇だ。


「昨日、倉庫の前に置いてあったのを真伊が見つけたんだ」


今日も同じ花が届いている、と苦々し気に呟く伊吹も、他の白蓮の面々も、極道の所業とは思えない奇妙な花に、畏怖の念を抱いているのが手に取るように分かった。

軌然会は、黎月会と並ぶほどの大きな組織だ。
いや、人数だけで比べれば、軌然に軍配が上がるだろう。

眞雪としても、それほどの組織がお粗末な花一本を手向けるだけ——など、想像し難い。