君の雪は解けない

「えっと⋯⋯お話は、なんですか」


正直なところ、眞雪は、彼女と居る有瀬を好ましく思えなかった。

彼には光り輝く世界など似合わないし、
若と相応の地獄を見ながら生きていけ、とまで願っている。

この道の者は、表の世界の者に深く干渉するべきでないとは、彼も知っていたはず。

きっとどこかで乗るレールを間違えたのだ。

眞雪は、自身の口から小説や漫画に出てくる悪役の様な台詞が出るのを自覚して、苦く笑った。


それでも、旧友の相応の幸せを願って。

眞雪は正面から少女を見据え、口許に薄く妖しい微笑を湛えた。



「お金ならあげる。有瀬から今すぐに手を引いて?」


「————え」



当たり前だけれど、僕が一等大事なのは若と有瀬だから。

ごめんね。