そして、お客さん用とは別に戸棚に隠し置いてある自分用の灰皿を取り出す。

まず、タバコを1本。

深く深く、肺の奥まで吸って。

黒い煙で私を全部満たしたかった。


ベッドに仰向けに、大の字になる。

私は○○だ…明るくて、人懐っこい、最高のサービスを提供する○○なんだ…


何度も、何度もそう自分に言い聞かせる。


別の人格になる準備。


素の自分で接客なんて、できない。


ここで働く私と本当の私は、できれば完全に切り離したい。


これはその儀式。

精神を統一して、別の人格を演じる準備。