私が扉の前でもたついていると、後ろから肩を叩かれた。
振り返ると、変わったスーツを着た若い男性だった。

「お嬢さん、新入り?」
「もし良ければ向こうの広間で俺と踊らない?」

どうやらここは舞踏会の最中みたいだ。
「ありがたいお言葉ですが、遠慮させていただきます」
私がキッパリと断ると、彼はあきらめが悪く私の手を掴んできた。
「いいじゃん!少しだけだから!」
「やめてください!」
抵抗したが、成人男性の力に叶うわけもなかった