あの後公爵様に部屋まで運んでいただいた。手をこまねいて待っていたマルセナに有無を言わさず浴槽に入れられ、軽食を摂ってベッドへと入る。疲れていたためかすぐ寝てしまい、起きたら朝。
眉間に皺を寄せているマルセナを連れて研究室に向かうと、目の下に隈のなくなった研究員たちが、元気に仕事をしていた。
研究の結果、重ねてしまうと魔法陣が干渉し合ってしまうらしい。そのため、魔力で宝石の側面へと移動させれば良いのでは、という案が出てきたそうな。
もう既にセヴァルが実験しており、それならば問題なく魔法陣が動いたのだとか。
私はそれを数日訓練した後、偽鏡の魔宝石に施した。一報を聞いた翌日ユーイン殿下が訪れ、彼が触れるとほんのりと光る。成功したのだ。公爵様も含めた研究員全員と健闘を讃えあう。これは皆の力がなければ成功しなかった。そこに関われた事が嬉しい。
ユーイン殿下は大層喜んだ。そして私に、ひとつ頼み事をしてから王宮へと帰っていった。
その後、研究所は数日の騒々しさが嘘のように静かになる。緊張の糸が切れたのか……研究対象を失ったからなのか……。元気付けようと思った矢先、セヴァルが楽しげに歩いてくる。研究員全員が生気のない表情で彼を見ている。セヴァルは肩をすくめてから、大声で叫んだ。
「皆さん! これから魔法陣を解読しますよ!」
その言葉で研究員たちの目に輝きが戻る。
「この魔法陣を解読して、魔力量を増やそうではありませんか! お嬢様のように!」
研究員たちが一斉に騒々しくなる。次の研究対象が現れ、そちらに興味が移ったらしい。
「おお、面白そうですな! 吾輩も混ぜてもらっても?」
「ぼ……僕もいいですか?」
普段は死んだような魚の目をしているヒュー。けれども今日だけは違った。目が爛々と輝いている。
所長もその様子を不思議そうに見ていた。
「おや、君の魔力量はそこそこ多いと思っていたのですが……」
その言葉に、ヒューは鼻をふんす、と鳴らす。
「確かに、多い方だと思います。けれど、今の僕の魔力では足りません。もっと魔力があれば、所長を魔法で捕まえられるじゃないですか!」
鼻息荒く言う彼を見て、シュゼットが可哀想な者を見るかのように、ヒューを見る。その言葉だけで彼の苦労が手に取るように理解できた。研究所にはまた新たな笑い声、奇声、怒声が響くようになっていく……。
眉間に皺を寄せているマルセナを連れて研究室に向かうと、目の下に隈のなくなった研究員たちが、元気に仕事をしていた。
研究の結果、重ねてしまうと魔法陣が干渉し合ってしまうらしい。そのため、魔力で宝石の側面へと移動させれば良いのでは、という案が出てきたそうな。
もう既にセヴァルが実験しており、それならば問題なく魔法陣が動いたのだとか。
私はそれを数日訓練した後、偽鏡の魔宝石に施した。一報を聞いた翌日ユーイン殿下が訪れ、彼が触れるとほんのりと光る。成功したのだ。公爵様も含めた研究員全員と健闘を讃えあう。これは皆の力がなければ成功しなかった。そこに関われた事が嬉しい。
ユーイン殿下は大層喜んだ。そして私に、ひとつ頼み事をしてから王宮へと帰っていった。
その後、研究所は数日の騒々しさが嘘のように静かになる。緊張の糸が切れたのか……研究対象を失ったからなのか……。元気付けようと思った矢先、セヴァルが楽しげに歩いてくる。研究員全員が生気のない表情で彼を見ている。セヴァルは肩をすくめてから、大声で叫んだ。
「皆さん! これから魔法陣を解読しますよ!」
その言葉で研究員たちの目に輝きが戻る。
「この魔法陣を解読して、魔力量を増やそうではありませんか! お嬢様のように!」
研究員たちが一斉に騒々しくなる。次の研究対象が現れ、そちらに興味が移ったらしい。
「おお、面白そうですな! 吾輩も混ぜてもらっても?」
「ぼ……僕もいいですか?」
普段は死んだような魚の目をしているヒュー。けれども今日だけは違った。目が爛々と輝いている。
所長もその様子を不思議そうに見ていた。
「おや、君の魔力量はそこそこ多いと思っていたのですが……」
その言葉に、ヒューは鼻をふんす、と鳴らす。
「確かに、多い方だと思います。けれど、今の僕の魔力では足りません。もっと魔力があれば、所長を魔法で捕まえられるじゃないですか!」
鼻息荒く言う彼を見て、シュゼットが可哀想な者を見るかのように、ヒューを見る。その言葉だけで彼の苦労が手に取るように理解できた。研究所にはまた新たな笑い声、奇声、怒声が響くようになっていく……。


