現在は折り合いをつけ、自分なりに動けているとレオネルは思っている。
自分自身の戦力は勿論上げて、血濡れの死神という異名の父に負けないよう努力してきたつもりだ。ただ、何故か帝国内で鋼知の貴公子と呼ばれているけれど……。
まあ、そんなこんなで癒しを人形に求めているレオネルだったが、それを知っているのは侍女長とヘンリーだけだ。
他の者に示しがつかないと、レオネルはこの事を他の使用人には必死に隠していた。ただ、ウサギの人形二体だけは、彼宛に届いたので寝室に置いていたのだ。他の使用人たちも、まさかレオネルが人形を好きだとは思っていない。ヘンリーたち以外は、直接届いたから律儀に飾っているのだろう、と思っているはずだ。
「やはりこの空間は私の癒しだ」
レオネルはひとつずつ人形の頭を撫でていく。軍部の時はまさか人形に癒しを求めるとは思っていなかった。爵位を継承する前、領地を視察した時に見つけた癒し。このふわふわな手触り、そして可愛らしさはレオネルの心を射抜いた。
そしてたまに歪な形の人形もあったりするが、これも可愛らしい。孤児院の子が頑張って作っている様子が思い浮かぶのだから。
人形の部屋でレオネルは思う存分楽しんでいた。部屋の扉は閉まっており、ここにはヘンリーや侍女長も入る事ができない。
ここは自分だけの癒しの場。侍女長を入れないという事もあり、この部屋だけは自分で掃除しているほどの徹底ぶりだ。
最後に頭を撫でようとした人形……これもウサギの人形だった。レオネルは頭を撫でようとして、先ほどエスペランサに渡した人形を思い出す。
「私のこのような姿に幻滅しないだろうか……」
ふと溢れた言葉。それは紛れもなくレオネルが隠そうとしている弱さだった。
自分自身の戦力は勿論上げて、血濡れの死神という異名の父に負けないよう努力してきたつもりだ。ただ、何故か帝国内で鋼知の貴公子と呼ばれているけれど……。
まあ、そんなこんなで癒しを人形に求めているレオネルだったが、それを知っているのは侍女長とヘンリーだけだ。
他の者に示しがつかないと、レオネルはこの事を他の使用人には必死に隠していた。ただ、ウサギの人形二体だけは、彼宛に届いたので寝室に置いていたのだ。他の使用人たちも、まさかレオネルが人形を好きだとは思っていない。ヘンリーたち以外は、直接届いたから律儀に飾っているのだろう、と思っているはずだ。
「やはりこの空間は私の癒しだ」
レオネルはひとつずつ人形の頭を撫でていく。軍部の時はまさか人形に癒しを求めるとは思っていなかった。爵位を継承する前、領地を視察した時に見つけた癒し。このふわふわな手触り、そして可愛らしさはレオネルの心を射抜いた。
そしてたまに歪な形の人形もあったりするが、これも可愛らしい。孤児院の子が頑張って作っている様子が思い浮かぶのだから。
人形の部屋でレオネルは思う存分楽しんでいた。部屋の扉は閉まっており、ここにはヘンリーや侍女長も入る事ができない。
ここは自分だけの癒しの場。侍女長を入れないという事もあり、この部屋だけは自分で掃除しているほどの徹底ぶりだ。
最後に頭を撫でようとした人形……これもウサギの人形だった。レオネルは頭を撫でようとして、先ほどエスペランサに渡した人形を思い出す。
「私のこのような姿に幻滅しないだろうか……」
ふと溢れた言葉。それは紛れもなくレオネルが隠そうとしている弱さだった。

