夜。
寝付けなかった私は、部屋のバルコニーで夜空を見ていた。空には無数の星たちが輝く。いつだか、寂しくなった私が人の目を盗んで母の元へと行った事がある。その時に見た星空と似ていた。
その時は星が哀しみに揺らめいているように見えた……今も同じだ。
「お母様」
ぽつり、と呟く。私の言葉は誰にも届く事なく、天へと昇る。まさかお母様は自分が死ぬ事を分かっていて、王国に嫁いでいたなんて……衝撃の事実に私の心は沈んでいた。
「だからあんなに哀しそうな表情をされていたのかしら……?」
笑顔の間に時折見せる哀愁感じる表情。そんな表情をお母様がするのは、ほんの一瞬。でも子どもながらに、「どうしたのかな」と思う事は度々あった。幼い頃は無邪気に訊ねていたけれど……何度聞いてもはぐらかされていたの。
そういえば、一度だけ……この事を乳母のエイミーに聞いた事がある。彼女は私が五歳になるまでお母様の侍女として働いていた。
その時のエイミーも、涙を堪えたような表情で私を見ていた気がする。きっと、エイミーも知っていたのね……それからすぐにエイミーは国に戻され、私はお母様に聞く事もなくなったから。
今日は色々な事を知った。お母様が『予言の巫女』で、今までの事を全て言い当てている事……そして最後にユーイン殿下は言っていたの。
「『予言の巫女』は黒髪を持つ者が能力を発現する」
私は視界に入っていた自分の髪を一房持ち上げる。目の前に広がる闇夜へと紛れそうなほど黒い私の髪。私がもし自分の死の未来を予言したら? お母様のように振る舞えるのだろうか。
「……いいえ、自信はないわね」
思わず自嘲気味に笑う。帝国で黒髪を持つ者は一人しかいないとユーイン殿下が言っていた……そう私だけ。私がもし予言を知ったら……お母様のように生きる事ができるのかしら。自答するけれど、いつまで経っても答えはでなかった。
寝付けなかった私は、部屋のバルコニーで夜空を見ていた。空には無数の星たちが輝く。いつだか、寂しくなった私が人の目を盗んで母の元へと行った事がある。その時に見た星空と似ていた。
その時は星が哀しみに揺らめいているように見えた……今も同じだ。
「お母様」
ぽつり、と呟く。私の言葉は誰にも届く事なく、天へと昇る。まさかお母様は自分が死ぬ事を分かっていて、王国に嫁いでいたなんて……衝撃の事実に私の心は沈んでいた。
「だからあんなに哀しそうな表情をされていたのかしら……?」
笑顔の間に時折見せる哀愁感じる表情。そんな表情をお母様がするのは、ほんの一瞬。でも子どもながらに、「どうしたのかな」と思う事は度々あった。幼い頃は無邪気に訊ねていたけれど……何度聞いてもはぐらかされていたの。
そういえば、一度だけ……この事を乳母のエイミーに聞いた事がある。彼女は私が五歳になるまでお母様の侍女として働いていた。
その時のエイミーも、涙を堪えたような表情で私を見ていた気がする。きっと、エイミーも知っていたのね……それからすぐにエイミーは国に戻され、私はお母様に聞く事もなくなったから。
今日は色々な事を知った。お母様が『予言の巫女』で、今までの事を全て言い当てている事……そして最後にユーイン殿下は言っていたの。
「『予言の巫女』は黒髪を持つ者が能力を発現する」
私は視界に入っていた自分の髪を一房持ち上げる。目の前に広がる闇夜へと紛れそうなほど黒い私の髪。私がもし自分の死の未来を予言したら? お母様のように振る舞えるのだろうか。
「……いいえ、自信はないわね」
思わず自嘲気味に笑う。帝国で黒髪を持つ者は一人しかいないとユーイン殿下が言っていた……そう私だけ。私がもし予言を知ったら……お母様のように生きる事ができるのかしら。自答するけれど、いつまで経っても答えはでなかった。


