「何処から話したらいいものか……ソラル帝国の東方の海上に、島がある事を知っているか?」
私は知らなかったので、首を横に振る。王子妃教育はあったけれど、家庭教師にはこの大陸の地理しか教わらなかったため、島がある事を知らなかった。一方で、公爵様は知っているようだ。
「東の王国、と呼ばれる国ですね。我が国とは違う独特の文化を持ち、以前から帝国とは交易を行っているという」
「そうだ。その国は我々上層部の中ではこう呼んでいる『神の祝福を受けた国』と」
「神の……祝福でございますか?」
そういえば王国でも、『魔法は神が与えてくださった奇跡だ』なんて話もあったけれど、それと似たようなものだろうか。そう思っていた私だったが、この後の話で耳を疑う事になる。
「あの国では『予言の巫女』と呼ばれる存在がいる。そしてその予言は必ず当たるとされている。実際東の王国では何度も予言の巫女が誕生しているが、彼女たちの予言に狂いはなかったという」
まさに神の奇跡と謳われる所業。公爵様もその事は知らなかったのか、驚きを隠せないようだ。二人の表情を確認したユーイン殿下は言葉を続ける。
「そして私の高祖母が実は東の王国で予言の巫女だったのだ。何故高祖母がこちらに来たのかは聞いていないので割愛するが……予言の巫女は東の王国から嫁ぐ事はなかったので、よほどの特殊事例だったらしい。ちなみに高祖母は、王国の飢饉を数年前に予言していたそうだ」
王国の飢饉といえば、戦争終結直前に起きたあの飢饉だろう。その時代、今は隠居中である先代国王様や先代宰相様たちが、必死で休戦協定を結んだと聞いている。ただ、それを強行した反動からか……彼らを見てきた次代は先代の穏健な政策に反発する者たちが台頭している。
その筆頭が現国王であるグレゴリーなのだ。
だが、帝国に『予言の巫女』と呼ばれる者がいる事は把握した。けれども、それが何に繋がるのか……そこまで考えて、ハッと気づく。
「もしかして、私の母にその力があったのではありませんか?」
機密事項である『予言の巫女』その話をここでユーイン殿下がする必要はない。けれども、お母様がその力を発現させたというのであれば、話が繋がるのだ。その考えは正しかったらしく、殿下は「そうだ」と賛同した。
「エスペランサ嬢の母君であるバレンティナ元皇女は、戦争終結の直前の時期に『予言の巫女』の能力に目覚め、将来を見通したらしい。そして先代皇帝に、停戦協定の条件の中に自分をホイートストン公爵家に嫁がせる条項を盛り込むように告げたのだ」
私は知らなかったので、首を横に振る。王子妃教育はあったけれど、家庭教師にはこの大陸の地理しか教わらなかったため、島がある事を知らなかった。一方で、公爵様は知っているようだ。
「東の王国、と呼ばれる国ですね。我が国とは違う独特の文化を持ち、以前から帝国とは交易を行っているという」
「そうだ。その国は我々上層部の中ではこう呼んでいる『神の祝福を受けた国』と」
「神の……祝福でございますか?」
そういえば王国でも、『魔法は神が与えてくださった奇跡だ』なんて話もあったけれど、それと似たようなものだろうか。そう思っていた私だったが、この後の話で耳を疑う事になる。
「あの国では『予言の巫女』と呼ばれる存在がいる。そしてその予言は必ず当たるとされている。実際東の王国では何度も予言の巫女が誕生しているが、彼女たちの予言に狂いはなかったという」
まさに神の奇跡と謳われる所業。公爵様もその事は知らなかったのか、驚きを隠せないようだ。二人の表情を確認したユーイン殿下は言葉を続ける。
「そして私の高祖母が実は東の王国で予言の巫女だったのだ。何故高祖母がこちらに来たのかは聞いていないので割愛するが……予言の巫女は東の王国から嫁ぐ事はなかったので、よほどの特殊事例だったらしい。ちなみに高祖母は、王国の飢饉を数年前に予言していたそうだ」
王国の飢饉といえば、戦争終結直前に起きたあの飢饉だろう。その時代、今は隠居中である先代国王様や先代宰相様たちが、必死で休戦協定を結んだと聞いている。ただ、それを強行した反動からか……彼らを見てきた次代は先代の穏健な政策に反発する者たちが台頭している。
その筆頭が現国王であるグレゴリーなのだ。
だが、帝国に『予言の巫女』と呼ばれる者がいる事は把握した。けれども、それが何に繋がるのか……そこまで考えて、ハッと気づく。
「もしかして、私の母にその力があったのではありませんか?」
機密事項である『予言の巫女』その話をここでユーイン殿下がする必要はない。けれども、お母様がその力を発現させたというのであれば、話が繋がるのだ。その考えは正しかったらしく、殿下は「そうだ」と賛同した。
「エスペランサ嬢の母君であるバレンティナ元皇女は、戦争終結の直前の時期に『予言の巫女』の能力に目覚め、将来を見通したらしい。そして先代皇帝に、停戦協定の条件の中に自分をホイートストン公爵家に嫁がせる条項を盛り込むように告げたのだ」


