「そうか、なら良いのだが……それよりもだな、今日講義中、エスペランサ嬢の顔色が悪かったと聞いていたが……何があったのか分かるか?」
「はい。その件はシュゼットに確認をとってあります。魔法の講義を行っている時に、デヴァイン王国の話が上がったのです」
「……なるほどな。まだ、傷が癒えていないのだろう」
先程まで口角が上がっていたヘンリーの表情は消え、レオネルの眉間には深い皺が刻まれる。レオネルは手元にある報告書を手に取り、ある箇所に目を通す。この文言は、覚えるまで読み込んだ。そこにはエスペランサの王国での扱いが書かれている。
「俺の予想ではあるが、エスペランサ嬢は彼女が思う以上に心の傷が深くまで根を張っているような気がするのだが」
「私も同意見です」
ヘンリーと意見が一致したレオネルは、胸を撫で下ろす。そして頬杖をついた。何かを考え込んでいるらしい。この時のレオネルに話しかけても、聞こえていない事を知っているヘンリーは、静かに彼の言葉を待つ。
しばらくしてレオネルは顔を上げた。そして待機していたヘンリーと視線が交わる。
「正直、俺にはどうしたら彼女の傷が癒えるかは分からないが……まずはここが彼女にとって安らぐ場所になるよう全力を尽くしたいと思う。手伝ってくれるか?」
「勿論でございます」
頭を下げたヘンリー。そんな彼の瞳にはうっすらと涙が滲んでいた。
「はい。その件はシュゼットに確認をとってあります。魔法の講義を行っている時に、デヴァイン王国の話が上がったのです」
「……なるほどな。まだ、傷が癒えていないのだろう」
先程まで口角が上がっていたヘンリーの表情は消え、レオネルの眉間には深い皺が刻まれる。レオネルは手元にある報告書を手に取り、ある箇所に目を通す。この文言は、覚えるまで読み込んだ。そこにはエスペランサの王国での扱いが書かれている。
「俺の予想ではあるが、エスペランサ嬢は彼女が思う以上に心の傷が深くまで根を張っているような気がするのだが」
「私も同意見です」
ヘンリーと意見が一致したレオネルは、胸を撫で下ろす。そして頬杖をついた。何かを考え込んでいるらしい。この時のレオネルに話しかけても、聞こえていない事を知っているヘンリーは、静かに彼の言葉を待つ。
しばらくしてレオネルは顔を上げた。そして待機していたヘンリーと視線が交わる。
「正直、俺にはどうしたら彼女の傷が癒えるかは分からないが……まずはここが彼女にとって安らぐ場所になるよう全力を尽くしたいと思う。手伝ってくれるか?」
「勿論でございます」
頭を下げたヘンリー。そんな彼の瞳にはうっすらと涙が滲んでいた。

