「さて、陛下からご紹介にあずかりました私、ホイートストンの考えでございます。まず長女のエスペランサと次女のブレンダの立場を入れ替える事にいたしました」
公爵は笑いを噛み殺しながら話しているのか、時々声が震えている。本当は高笑いしたくて堪らないのかもしれない。
「この娘は穢れた血である母親の影響か、魔力量の乏しいこの娘には、制約魔法がよく効きます。既にガメス公爵にはエスペランサの姿絵と共に『ブレンダ・ホイートストンは言葉が発せない』旨をお伝えしております……ここまで来れば、皆様にも計画を理解していただけたかと」
彼の言葉に同調する空気が周囲に流れる。
「成程、魔法で声を封印して送り出すのか」
「魔力の低い帝国では高度な魔法の解除は不可能だ、と考えての事か」
「だが、声が出なくても文字を書く事ができる。そこはホイートストン卿、どう対応されるつもりか?」
「それについても問題はありません。声の封印以外にも幾つかの制約魔法をかける予定です。到底帝国が知り得ない魔法ですし、解除も不可能でしょう。我が娘であるブレンダには名前を取り替える、という苦行を強いてしまいますが、了承を得ています」
全員の視線が一斉にブレンダへと向いたような気がした。その視線を受けたからか、彼女は小声で「お国のためですから」と庇護欲をそそる声色で答えている。
「なんて健気なんだ……」
「ブレンダ様こそ、王妃に相応しい!」
ブレンダの言葉にあちらこちらから歓呼の声が上がる。この時点でこの場にいる王侯貴族たちは計画の成功を確信しているのか、拍手が沸き起こった。
「エスペランサ嬢の出立は明日となる。皆、今日のこの良き日を迎えられた事を感謝する。良くぞ今まで耐え忍んでくれた!」
陛下の声にわああぁぁぁ!!と、貴族たちの熱気は最高潮に達する。その中で私は陛下より指示を受けた従者によって退室を促された。
貴族たちの喚声と陛下や公爵家の侮蔑の視線を受けながら、私は広間を後にした。
公爵は笑いを噛み殺しながら話しているのか、時々声が震えている。本当は高笑いしたくて堪らないのかもしれない。
「この娘は穢れた血である母親の影響か、魔力量の乏しいこの娘には、制約魔法がよく効きます。既にガメス公爵にはエスペランサの姿絵と共に『ブレンダ・ホイートストンは言葉が発せない』旨をお伝えしております……ここまで来れば、皆様にも計画を理解していただけたかと」
彼の言葉に同調する空気が周囲に流れる。
「成程、魔法で声を封印して送り出すのか」
「魔力の低い帝国では高度な魔法の解除は不可能だ、と考えての事か」
「だが、声が出なくても文字を書く事ができる。そこはホイートストン卿、どう対応されるつもりか?」
「それについても問題はありません。声の封印以外にも幾つかの制約魔法をかける予定です。到底帝国が知り得ない魔法ですし、解除も不可能でしょう。我が娘であるブレンダには名前を取り替える、という苦行を強いてしまいますが、了承を得ています」
全員の視線が一斉にブレンダへと向いたような気がした。その視線を受けたからか、彼女は小声で「お国のためですから」と庇護欲をそそる声色で答えている。
「なんて健気なんだ……」
「ブレンダ様こそ、王妃に相応しい!」
ブレンダの言葉にあちらこちらから歓呼の声が上がる。この時点でこの場にいる王侯貴族たちは計画の成功を確信しているのか、拍手が沸き起こった。
「エスペランサ嬢の出立は明日となる。皆、今日のこの良き日を迎えられた事を感謝する。良くぞ今まで耐え忍んでくれた!」
陛下の声にわああぁぁぁ!!と、貴族たちの熱気は最高潮に達する。その中で私は陛下より指示を受けた従者によって退室を促された。
貴族たちの喚声と陛下や公爵家の侮蔑の視線を受けながら、私は広間を後にした。

