【番外編更新】虐げられた私の身代わり婚約、そして見つけた幸せ

 その後、部屋へと戻った私の元にシュゼットが幾つかの本を運び入れた。
 彼女が持ってきた本は魔法と魔術の基礎が描かれている本で、中には魔道具の本もあったりする。これからはこの本で勉強しようと気合を入れていた。そんな時。
 
「あら、よろしいのでしょうか?」

 今日から私は食堂で公爵様と食事を摂る事になった。マルセナの案内で、私は奥へと座る公爵様の右側の席に座る。そして食事が来る間、公爵様より提案をいただいたのだ。
 家庭教師のようなものはいるだろうか、と。

「ああ、エスペランサ嬢に帝国の礼儀作法や魔法・魔術の家庭教師をつけようと思う」

 本だけでは解らないところもあるだろう、と公爵様は話す。有難い事ではあるのだけれど、良いのだろうか。そう訊ねると、「問題ない」と言われる。

「魔法・魔術については我が家の者を家庭教師とする予定だ。帝都から呼び寄せることもできるが……我が家の者たちもそれ相応の使い手だからな。礼儀作法については、私の伝手で来てもらおうと考えている。他に学びたい事などはあるだろうか?」
「それでしたら、帝国の地理と歴史に関しても把握したいのですが、よろしいでしょうか?」

 『郷には郷に従え』とホイートストン公爵の言葉を思い出す。王国での経験上、地理や歴史を覚えておいて損はない。特に地理は他家との関係を作るためには、欠かせないものだ。
 私はガメス公爵家の一員となるのだから。
 
 最初は私の言葉に口を半開きにしていた公爵様だったけれど、彼はフッと笑った。

「良いだろう。手配する」
「ありがとうございます」

 お客様でいるだけではない。私が有用である事を示さなければ。