「……」
イザベラの言葉に考え込むローランド。しばらく熟考しても思いつかなかったローランドに、彼女は片目を瞑った。
「じゃあ、今陛下が保留にしているあの案件、私にくださらない?」
「あの案件……いいのか?」
それはある貴族からの嘆願書だった。どうしても、かの家の娘を皇家に入れたがっているらしく、皇太子であるトレバーの婚約者変更の嘆願書を数ヶ月に一度出してくるのである。
いつものことなので、ローランドも放置を決め込んでいた。この家はイザベラがローランドに嫁ぐ時も口を挟んでいるため、彼としてもあまり心象がよろしくないのである。
そんなある意味因縁とも呼べる家の案件を嬉々として受け持とう、と話すイザベラにローランドは目を細めた。
「大丈夫なのか?」
「もちろん! 私があの家に負ける姿が想像できます?」
「……いや、できん」
どう想像しても、無理だった。イザベラが高笑いしている姿しか思い浮かばない。そして更に念を押すかのように彼女は告げた。
「こちら、カサンドラと共同で事に当たりますから」
「よし、任せた」
ローランドは間髪入れずに返答した。
放置していた件がひとつ片付くのだ。しかも妻と娘の気分が上がるのであれば、最高ではないか。いい落とし所だったとローランドの機嫌も回復していく。そんな彼を見て、イザベラは公の場で見せる表情で微笑んだ。
「ですが、皇帝陛下? 今後こんなに面白いことがあるのでしたら、私も混ぜてくださいませね?」
「……ああ」
イザベラの感情が読み取れない笑みを見て、ローランドの背筋に冷たいものが走る。そんな二人のやりとりを遠くで見ていた執事は、主人である皇帝を見て、ひとつため息をついた。
**
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。こちらの番外編は30万PVの記念に執筆いたしました。
エスペランサたちとはまた違う、個性豊かな(そしてちょっぴり騒がしい)家族愛を感じていただければ幸いです。
物語は一度完結しておりますが、もし、**「こんな話が読みたいな」「あのキャラのその後が見たい!」**といったご希望などあれば、ぜひ感想ノートや「ひとこと感想」などで教えていただけると嬉しいです。
イザベラの言葉に考え込むローランド。しばらく熟考しても思いつかなかったローランドに、彼女は片目を瞑った。
「じゃあ、今陛下が保留にしているあの案件、私にくださらない?」
「あの案件……いいのか?」
それはある貴族からの嘆願書だった。どうしても、かの家の娘を皇家に入れたがっているらしく、皇太子であるトレバーの婚約者変更の嘆願書を数ヶ月に一度出してくるのである。
いつものことなので、ローランドも放置を決め込んでいた。この家はイザベラがローランドに嫁ぐ時も口を挟んでいるため、彼としてもあまり心象がよろしくないのである。
そんなある意味因縁とも呼べる家の案件を嬉々として受け持とう、と話すイザベラにローランドは目を細めた。
「大丈夫なのか?」
「もちろん! 私があの家に負ける姿が想像できます?」
「……いや、できん」
どう想像しても、無理だった。イザベラが高笑いしている姿しか思い浮かばない。そして更に念を押すかのように彼女は告げた。
「こちら、カサンドラと共同で事に当たりますから」
「よし、任せた」
ローランドは間髪入れずに返答した。
放置していた件がひとつ片付くのだ。しかも妻と娘の気分が上がるのであれば、最高ではないか。いい落とし所だったとローランドの機嫌も回復していく。そんな彼を見て、イザベラは公の場で見せる表情で微笑んだ。
「ですが、皇帝陛下? 今後こんなに面白いことがあるのでしたら、私も混ぜてくださいませね?」
「……ああ」
イザベラの感情が読み取れない笑みを見て、ローランドの背筋に冷たいものが走る。そんな二人のやりとりを遠くで見ていた執事は、主人である皇帝を見て、ひとつため息をついた。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。こちらの番外編は30万PVの記念に執筆いたしました。
エスペランサたちとはまた違う、個性豊かな(そしてちょっぴり騒がしい)家族愛を感じていただければ幸いです。
物語は一度完結しておりますが、もし、**「こんな話が読みたいな」「あのキャラのその後が見たい!」**といったご希望などあれば、ぜひ感想ノートや「ひとこと感想」などで教えていただけると嬉しいです。


