悩ましげな表情で私が空を見つめていると、隣にいた公爵様から声がかかった。
「君は……強いな」
「私ですか?」
隙あれば思考が暗くなってしまう私のどこが強いのだろう。そう首を傾げていると、公爵様は笑って告げた。
「君は受け入れ難い事実を突きつけられても、どうにか折り合いをつけながら前を向いているだろう? 私は前を向くのに数年以上かかったからな」
「公爵様……」
恥ずかしそうに微笑む彼を、可愛いと思った。そんな彼を支えていきたい。そんな気持ちが溢れていく。
私は公爵様の手を取ってから、両手で優しく握りしめた。
「私がお母様の話を受け入れられたのは……公爵様があの夜、話を聞いてくださったからですわ。貴方様が支えてくださったのです。本当に……ありがとうございます」
「エスペランサ嬢……」
頬に一筋の涙が流れ落ちる。次々に目から涙があふれるけれど、これは悲しさから来るのではないことだけは理解していた。
「私は……以前もお話ししましたが、お母様に常々『頑張りなさい、そうすれば貴女に幸せがやってくる』と言われ続けてきました。私が一人になっても、その言葉を信じ続けていました。けれど、王国を追放された時……一度だけ、お母様の言葉を疑ったのです」
頑張ったのに、何で認めてもらえないの――ブレンダやジオドリック達に罵倒されながら馬車に乗せられたあの日。
ユーイン殿下から真実を聞いたあの日。
自分の運命を呪いたいと思ったのは嘘ではない。……けれど、この言葉だけは微笑んで言いたかった。
「ですが……お母様の言葉は真実でした。私、公爵様の元に嫁ぐことができて、今とても幸せです」
私の顔は涙で綺麗ではないだろう。だけど、ここだけは――。
「レオネルだ」
「え?」
私は予想外の言葉に、目が丸くなる。公爵様は私の目に溜まっていた涙を優しく拭うと、優しく笑いかけてくる。
「私のことはレオネル……いや、レオと呼んで欲しい。他でもない、君に」
目を見据えられて、私は呼吸が止まりそうになる。その合間に公爵様の手が私の頬に触れていた。
「では私のことは……エラ、と呼んでくださいますか? ……レオ……」
気恥ずかしくなった私はレオから無意識に目を逸らす。今私の頬はきっと朱に染まっているはずだ。だって、頬が今までにないほど熱いのだもの。
「勿論だ、エラ」
私は俯きながらチラリとレオの顔を覗き込む。そんな赤面している私の頬に、レオは自らの顔を近づけたのだった。
完
ーーーーーーーー
【作者から一言】
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
おかげさまで本作は12/28日に「ファンタジー(総合)・恋愛ファンタジーランキング1位」をいただいております!
また、5日にはついに累計30万PVを突破いたしました( ´ ▽ ` )
お祝いと感謝も兼ねて、番外編を投稿しておりますので是非ご覧ください!
信じられない数字に、ただただ驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます……!
皆様からのレビューや感想ノート、いいね等の一つ一つが、何よりの執筆の励みになります。一言「面白かった」等いただけるだけで、次の物語を書く大きな勇気をいただけます。
また、本日新作も更新いたしました!
「妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜」
こちらも、幸せを掴み取るまで基本毎日投稿で走り抜けます。ぜひ、作者ページから遊びに来てください!
「君は……強いな」
「私ですか?」
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「公爵様……」
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「エスペランサ嬢……」
頬に一筋の涙が流れ落ちる。次々に目から涙があふれるけれど、これは悲しさから来るのではないことだけは理解していた。
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私の顔は涙で綺麗ではないだろう。だけど、ここだけは――。
「レオネルだ」
「え?」
私は予想外の言葉に、目が丸くなる。公爵様は私の目に溜まっていた涙を優しく拭うと、優しく笑いかけてくる。
「私のことはレオネル……いや、レオと呼んで欲しい。他でもない、君に」
目を見据えられて、私は呼吸が止まりそうになる。その合間に公爵様の手が私の頬に触れていた。
「では私のことは……エラ、と呼んでくださいますか? ……レオ……」
気恥ずかしくなった私はレオから無意識に目を逸らす。今私の頬はきっと朱に染まっているはずだ。だって、頬が今までにないほど熱いのだもの。
「勿論だ、エラ」
私は俯きながらチラリとレオの顔を覗き込む。そんな赤面している私の頬に、レオは自らの顔を近づけたのだった。
完
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