自分でも驚く変化が起きる日が来た。

高3のある日。



母から隣の歌羽の家に


回覧板を届けるよう言われたのだ。



「遥、歌羽ちゃんのお家に行って

回覧板を渡してきて」



母が言う。


俺は二つ返事で了承する。


「うん。わかった、ウタの家ね。

行ってくる。」



隣の家につきインターホンを鳴らす。



返事が来た。

「はーい」


ウタの声。

「月島です。」


淡々と告げる。

「ハル?」


歌羽が声を漏らしたように呟く。



そうもしないうちにすぐドアが開いた。 


「ウタ、これ回覧板…」


格好を見て箍が外れかけた。

格好を見るため目を一周させて

まじまじと見る。


ウタから声が出た。



「な…何?ハル」

俺は怒った顔をしてたと思う。


「ねぇ、その格好何?俺をどうしたいの?」


煽られてると思った。

無防備すぎる格好で。

予想外にも返答は普通に返ってきた。

「たまたまだよ。

別にハルが来るくらいだったら

普通にこんな格好で出ちゃうよ。」

怒りの沸点を上げてきた。


珍しく名前で呼ぶ。


「歌羽」

俺がウタの事を名前で呼ぶことは殆ど無い。


俺は怒ってる。それははっきりしてた。



「ウタ、それ男煽るやつ。

すぐ帰るつもりだったけど上がっていい?

ウタの部屋」

意外にも上がらせてくれるらしい。


俺男なんだけどな。


「別にいいけど。親はまだ帰ってこないし」



手も繋がないキスもない。


でもまったくないわけじゃ実はない。


俺が自制するために

あえて触らないようにしてた。



手を繋いだこともキスしたことも実はある。


初体験だってしっかりした。


でも数えるくらいしか。キスも何もかも。



そうして俺はウタの部屋に入った。


抱きしめたくてウタを抱きしめた。



思いの外ウタがそれに応え抱きしめ返す。


俺はウタを抱きしめたまま話し始めた。


「ねぇ、歌羽俺をどうしたい?

キスしてほしい?手を繋ぎたい?

それともいやらしいことをしてほしいの?」



返答次第によっては

無理矢理も辞さないつもりでいる。


俺にしては珍しく声を低く、


怒りがある顔をしてはっきり言った。

「ねぇ、答えてよ。歌羽」


俺は歌羽の腕をつかむ。


解こうとはしないウタ。

解けないのがわかってるのだろう。



「ハル、離して。着替えるから部屋出て」


何を思ったのかウタは着替えると言い出した。


そんなことさせるものか。

「歌羽。着替えるなんて今更何言ってんの?

させないよ、そんなこと。逆に脱げよ。全部」

お互いが同意もしない時に


そのようなことは言ったことはない。


ウタの身体が肩が震える。

いつもはそういうことをしていても


俺は優しくするようにしてた。


でもいつも以上に恐怖をウタに刻みつけた。

ウタが俺を見て言葉を紡ぐ。
 
「ハル、ごめんなさい。私がいけなかった。


でも今さすがにこんなことしたくない。

やめて。」

俺は表情を少し変え笑顔を見せた。


そう思わせただけだ。


「歌羽、脱いで。全部。

俺にその下のやつ見せる気だったんでしょ?

他の男にもそんなことする気なの?」

流石にウタが抵抗してきた。

「ハル、嫌!やめて!離して!」



俺は少し手の力を緩める。

「ウタ、良いよ。離してあげる。ほら。」

俺の手をウタから解く。