「瑞輝ー!
 おはよう !」

 アパートの階段を降りた途端、道の向こうから陽乃(ひの)が走ってきた。

 「陽乃 !
 おはよう」

 陸上部の足は速い。
 100メートルくらいはあった気がするのに一瞬で近くに駆け寄ってきた。

 「体育祭楽しみだなー」

 陽乃は最近、そればかり言っている。
 顔を合わせれば体育祭の話しかしていない。

 陽乃の中学は体育祭がなかったらしく、体育祭は初めてだと言っていた。

 「だね。
 そういやさ、陽乃って陸上部の競技みたいなのに出るの ?」

 「出るよ。
 出たくなくても強制参加。
 100メートルだったかな」

 陽乃は陸上部の中でも飛び抜けて足が速い。
 確か、陸上界では、もう注目されている。

 「すごいね、陽乃は」

 「何、いきなり。
 怖いんですけど」

 苦笑したところでバス停が見えてきた。

 バスはもう見えている。

 「瑞輝ー、陽乃ー !
 急いでよ !」

 いつものメンバー、由良(ゆら)と愛衣(あい)、郷夏(さとか)がバス停で手を振っている。


 入学して早1ヶ月。

 私は今、とてつもなく幸せだ。