帰宅後、もう一度、こっぴどく叱られた。

 でもそれは完全なる怒りとか憤りとかの感情とは違っていた。
 たくさん心配してくれて、安堵からきた怒りだろう。

 その証拠に母の口からは、「体が弱いんだから」とか「瑞輝ちゃんにも迷惑かけたんだから」といった気にかける言葉ばかりが出てきた。

 「ごめん」

 「どれだけの人に迷惑かけたと思ってるの。
 警察の方も、学校の先生方も、近所の方も、みんなで探し回ってくれたんだよ。

 それが、なんであんなに遠い海岸に行っちゃうの。
 警察に届けておいてよかった」

 そんなに遠い感覚はしなかったけれど、たしかに、パトカーに乗って警察署まで揺られた時間は長かったかもしれない。

 「次やったら外出禁止にしちゃうからね」

 「うん、ごめん」

 壁にかけてある時計はもう4時を回っていた。

 母さんは、寝ずに僕を探してくれていたんだ。
 警察も、学校の先生も、近所の人も。

 全員、僕のために、僕と涼風さんのために動いてくれた。

 「母さん」

 母さんは疲れきった顔を僕に向ける。
 それでも、優しい微笑みが浮かんでいる。

 「ん ?」

 「ありがとう」

 僕がそう言うと、母さんの目はあちこちに泳いで、照れくさそうに僕から逸らした。

 「もういい。
 風邪ひいたら困るから、寝なさい。
 学校は休んでいいから」

 「うん」

 僕の周りには、こんなにも優しい人たちがいる。
 僕を、僕たちを助けてくれる人がいる。