エンドロール

 全て打ち明けて、涙も流しきって、心が羽のように軽くなった。

 話し終わった頃にはもう西日が指していたけれど、私たちは帰らなかった。

 どちらも立とうとせず、水平線の上に図々しく佇む暮相の空を眺めた。

 どれほど時間が経ったんだろう。

 日暮れから夜までの時間は早くていつの間にか真っ暗になっていた。

 「ねえ、想來くん。
 帰らなくていいの ?」

 横を見る。

 港でもない海には灯りがなくて完全な闇だった。

 想來くんの顔が見えなくて顔を近づける。

 ふと何かが触れた。
 柔らかい何か。

 それが想來くんの唇だと気づいて、理解するまでに相当な時間を有したと思う。

 私たちは、くちづけした。
 夜半の中、互いもろくに見えない闇の中で、溶け合うようにくちづけした。

 はっとなって離れるのではなく、自然と、何も言わずに唇だけ繋がりあった。

 「帰ろっか」

 互いにおでこをくっつけながら、私が呟くと想來くんは首を振った。

 『もう少し二人でいたい』

 時刻はもう日付を超えていた。

 「わかった」

 想來くんのお母さんが心配しないかとか、警察に通報されないかとか、このときは考えなかった。

 今は、ただ二人でいたかった。

 苦しみを抱えながら、二人で寄り添い合いたかった。

 これからきっと大変になる。

 私は、ここにいられなくなる。