やっぱり怖かった。
学校に行く準備をしながら、手は酷く震えていた。
頭では考えないようにして、機械的に体を動かした。
「大丈夫 ?」
母が心配そうに僕の顔を覗き込んでくる。
自分でも項垂れたのか頷いたのか分からない。
とにかく首を下に押しやった。
「じゃあ、行こう」
外に出ると薫風が僕の頬を撫でた。
どこからか花の匂いを運んできたような甘い匂いがした。
車に乗りこみ、窓を開ける。
優しい陽光が射し込み、少しだけ気持ちが和らぐ。
きっと大丈夫。
学校に着いた時、玄関で見た光景は、僕にとって衝撃だった。
「1回だけだ。
つばきと話したいんだ」
「うるさい !
私はもうつばきじゃない。
あんたの娘でもない。
もう赤の他人だよ」
「何言ってるんだ。
頭がおかしくなったのか」
涼風と目があった。
少し驚いた顔をして彼女は僕から目を逸らした。
一瞬のできごとだったけど、僕にはスローモーションに見えて、目が離せなかった。
「おかしくなってなんかないよ。
おかしかったのはそっちでしょ ?
私の気持ちなんてそっちのけで自分の怒りをぶつけることに必死だった。
そうやって私の人生を壊したんだよ !
私は、今、涼風瑞輝なの」
つばき…。
まさか、ありえない。
声が小さくて聞こえないけど、涼風さんは泣いていた。
彼女の腕を掴んでいる男の人は父親だろうか。
頭が混乱しておかしくなりそうだった。
情報量が多すぎる。
「想來、行こう」
ぼんやりと宙を見つめている間に涼風さんも父親と思われる人も野次馬もいなくなっていた。
頷く。
だんだんと心臓が早鐘を打つ。
「大丈夫 ?」
しっかりと頷いて、玄関口へ向かった。
「椎名さん。
来てくれてよかった。
お母様もありがとうございます。」
下校中の生徒たちと目を合わせないように俯いて先生について行った。
それにしても、涼風さんのあれはなんだったのか。
つばきなんてそういる名前でもないし。
「私はもうつばきじゃない」
その声が蘇る。
もうつばきじゃない、というのはどう意味だろう。
学校に行く準備をしながら、手は酷く震えていた。
頭では考えないようにして、機械的に体を動かした。
「大丈夫 ?」
母が心配そうに僕の顔を覗き込んでくる。
自分でも項垂れたのか頷いたのか分からない。
とにかく首を下に押しやった。
「じゃあ、行こう」
外に出ると薫風が僕の頬を撫でた。
どこからか花の匂いを運んできたような甘い匂いがした。
車に乗りこみ、窓を開ける。
優しい陽光が射し込み、少しだけ気持ちが和らぐ。
きっと大丈夫。
学校に着いた時、玄関で見た光景は、僕にとって衝撃だった。
「1回だけだ。
つばきと話したいんだ」
「うるさい !
私はもうつばきじゃない。
あんたの娘でもない。
もう赤の他人だよ」
「何言ってるんだ。
頭がおかしくなったのか」
涼風と目があった。
少し驚いた顔をして彼女は僕から目を逸らした。
一瞬のできごとだったけど、僕にはスローモーションに見えて、目が離せなかった。
「おかしくなってなんかないよ。
おかしかったのはそっちでしょ ?
私の気持ちなんてそっちのけで自分の怒りをぶつけることに必死だった。
そうやって私の人生を壊したんだよ !
私は、今、涼風瑞輝なの」
つばき…。
まさか、ありえない。
声が小さくて聞こえないけど、涼風さんは泣いていた。
彼女の腕を掴んでいる男の人は父親だろうか。
頭が混乱しておかしくなりそうだった。
情報量が多すぎる。
「想來、行こう」
ぼんやりと宙を見つめている間に涼風さんも父親と思われる人も野次馬もいなくなっていた。
頷く。
だんだんと心臓が早鐘を打つ。
「大丈夫 ?」
しっかりと頷いて、玄関口へ向かった。
「椎名さん。
来てくれてよかった。
お母様もありがとうございます。」
下校中の生徒たちと目を合わせないように俯いて先生について行った。
それにしても、涼風さんのあれはなんだったのか。
つばきなんてそういる名前でもないし。
「私はもうつばきじゃない」
その声が蘇る。
もうつばきじゃない、というのはどう意味だろう。
