たまに見かけるあの女の子はいい。
 毎回、友達と楽しそうに帰っている。

 きっと、社会に出ても苦労しないタイプ。

 勉強もできそう。
 運動もできそう。
 友達もたくさんいる。

 僕とは真逆。

 理不尽な世の中だ。

 苦労している人ほど報われない。

 きっと、みんな、どこかで苦労しているんだろうけど、僕よりは楽なはずだ。

 身体が弱くて、たまにしか学校に行けなくて、僕が悪いわけじゃないのに、クラスメイトにはサボっていると思われる。

 不登校だといじられる。

 違う、そうじゃないと叫びたい。
 でも、声が出ない。

 不登校なのは事実だから。
 僕が学校に行かないのは身体のせいだけじゃないのを、僕が1番分かっている。

 母さんにも言っていない秘密。

 身体の調子がいいとき、僕は休みたいと言う。

 きっと休んでいる半分くらいは調子がいい。

 ただ、学校に行きたくないだけ。
 いじめられるから、学校に行きたくない。

 声が出ないのは、僕のせいじゃないのに。
 できることなら声を出したい。
 でも、出ない。

 場面緘黙症。
 小学生の時、そう診断された。

 もともと、学校に行ける日は少なくて、入退院を繰り返して、学校に行かなくなっている間に、友達との話し方を忘れた。

 いつか、いつでもいいから、なんでも話せる友達が欲しい。

 いつか、いつでもいいから、毎日、学校に行けるといい。

 いつか、いつでもいいから、声を出せるようになりたい。

 もう、わりとずっと前から、僕は住む世界が違うんだと思う。