エンドロール

 しばらく話して、それから涼風さんは帰っていった。

 涼風さんはPTSDだと言っていた。
 詳しいことは話さなかったし、聞きもしなかったけど、途中でトラックの音にビクッとしたり大きな音がした時に呼吸が荒くなっていたりするのを見ていると、何があったか想像するのはそう難しくもなかった。

 僕は心臓弁膜症だということだけ伝えた。

 詳しくは話さなくてもお互い、お互いの事情を察し、居心地が良かった。

 「ん ?
 なに ?」

 涼風さんが病室を出ていく時、彼女の肩を優しく叩いた。

 『退院したら、頑張って学校行くから、また話してくれる ?』

 話している最中もずっと考えて、書き直した内容を見せる。

 書き直せるのは筆談のいいところだと思う。
 誰にも知られずに考えることができる。

 「うん !」

 涼風さんは笑顔で頷く。

 『ありがとう』

 これも同じで用意しておいた紙を見せた。

 「うん。
 じゃあね、また学校で」

 涼風さんは手を振って出ていった。
 僕も手を振る。

 久しぶりに笑顔を浮かべられたと思う。

 あの、小学生の頃に好きだった子と話した時以来。

 母方の苗字が涼風だった、憂蒼椿輝ちゃんと。