銀木犀の約束


「えっ…」

放課後、体育館裏に1人で向かう蒼太をこっそり追いかけると、コンクリートの階段のところに女子生徒と蒼太がいた。

リボンの色は青。おそらく1年生だろう。

真っ白な肌に漆黒のつややかな黒髪が映えていて、その顔立ちはなぞりたくなるほど美しかった。

遠くからでもわかる、アーモンド形の大きな愛らしい瞳と長い睫毛(まつげ)に、すっと通った鼻。桃色のつややかな唇が彼女の美しい顔を引き立たせていた。

私は体育館裏にある太い木の幹に体を寄せて、息をひそめてこの後の展開を待っていた。

「何か用?」

蒼太が口を開くと、その1年生の女子生徒はブレザーの内ポケットから白い封筒を取り出した。

「蒼太先輩…すきです!つっ、付き合ってください!」

ひゅっと喉の奥から空気が漏れた。

蒼太が告白されるのかも、と覚悟していたつもりだったけど、いざその瞬間を目の当たりにすると、頭をガツンと殴られたような衝撃が走った。

――返事は、聞きたくない。

私は体育館裏にある太い木の幹からはじかれるように体を離し、その場から逃げるように駆け出した。