力の入らない体を抱きながら、撫でてくれていたのとは別の手で私の唇をゆっくりと撫でて、強く押されたかと思うと、強引に指が少し押し込まれてきた。

「っぱいっ」

はぁはぁと、体調不良のせいで熱い呼吸が、茅実先輩の指に当たってしまう。

「ん?なぁに?」

「んっ…」

先輩の指が、また少しだけ押し込まれてきて、柔く唇で食んでしまう。

離そうとしても、下顎が抑えられて、離せない。

そのお陰で、話すこともできなかった。

「可愛いね、由乃。由乃が言ったんだよ。離れないでって。俺は嬉しいなぁ。由乃の側に少しでも多く一緒に居られることが嬉しい」

頭を撫でられる感覚と、状況に頭がついていかず、意識が途切れそうになる。