由乃の家に近付いてきた頃に、雪が降り積もり始めたことでか、パニックに陥っていた頭が冴えてきて、引き換えそうか、少しその場にとどまっていた。

顎に手を当ててう~んと唸っていると、奥の曲がり角で、人の倒れる音がして、パッと顔を上げると…………
        「由乃?」

由乃が雪の積もった道路に倒れていた。

一瞬由乃の倒れている様子に息のできない瞬間があったけれど、頭で考えるよりも体か先に動いていて、情報の整理も出来ていないまま、由乃を抱き上げた。

世に言う、「お姫様抱っこ」で、由乃を抱き上げ、何度も名前を呼び掛ける。

「……茅実先輩?」