大好きな先輩は(S)王子様でした(マンガシナリオ)

この感情は何なのか、どうしてこんなにも、鼓動がせわしないのか。

けれど、俺は由乃と話したことがない。

由乃のことを嫌いになるわけがないけれど、こんな状況でもしも告白しようものなら、話したこともない人にすぐ告白なんてする、軽い男だと思われることが一番怖い。

だが、それから、数週間か数ヶ月後、由乃と電話をする機会があった。

なんと、俺の気持ちは事務員さんのもとまでとどろいていたようで、すぐに俺に受話器を渡してくれた。

それで良いのかとも思うが、正直なところ、内心万々歳だった。

由乃との会話は楽しく、鈴の音のような可愛らしい声が、俺の鼓膜を揺さぶる度に、心臓が鷲掴みにされたように、苦しく、愛おしく感じた。