ると、そこには、鬼の形相をしたお母さんがたっていた。

「お…かあ…さ…」

私は後ろに後ずさった。
だって、お母さんがその長い爪のある手を私の頭に伸ばしてきて、明らかに、撫でようなんていう、優しいものではなく、見覚えがある、頭を鷲掴みにされて、殴られるときの…手だ…。

私は靴を履くことも忘れて、お母さんの顔も見れずに、家を飛び出した。

おかしいなぁ、学校に行くときはあんなに勇気を出して家を出たのに、逃げるためならなんの躊躇もなく家を出られる。

そこから私は目的地も、現在地も分からないまま、ただただ、お母さんから離れようとして、必死に走った。