『ま、まってよ、お父さんっ。やめてよっ、お母さんっ』

なんで?いつもは、こんな夢…見ない…これじゃ…まるで……最初の頃みたいっ…。

『あんたがいるからっ、あんたがいるから、金がかかるのよっ、お母さんが、育てろなんて言わなければ、今頃いなかったのに!目障りなのよ!』

手に持っていた櫛で顔をパシンと叩かれて、頬を押さえる。

もう一発繰り出される前に見えたお父さんの顔は、あれは関係ないとでも言うかのように、顔面蒼白で、そっぽを向いてぶつぶつ呟いている。

櫛が目の横にあたって鈍い痛みが走る、夢なのに、そう錯覚する。

必死に立ち上がって逃げると、真っ暗ななかで走った先には、茅実先輩がいた。