繋いでいる手を持ち上げる。

「由乃、無理だって、帰りたくなったら、強く握ってくれたら良いからね」

「はい」

由乃は浮かない顔が続いていた。
ずっと怯えるような顔だった。

由乃のお母さん…クソババァは、顔のいい男に目がないらしい。

ならもしかしたら…。

インターホンを鳴らしてみると、早い時間だったこともあり、由乃の母親がいた。

由乃の父親は許せなかったけれど、社会的に抹殺することにして、見逃してやった。

学費を払っていたし、実害がなかったからだが、道徳心の欠片もないヤツだ許せるわけではない。