詳細までは掴みきれなかったけれど、十分にひどいものだった。

怯えることも、無理はない。けれど、それをずっと背負って生きていくのは苦しいことだ。

俺は親父の罵詈雑言や暴力から、離婚してくれていたお陰で抜け出せたけれど、由乃はそれのできない環境で育ち、耐えてきた。

もう、耐えるもくそもないようにしてあげたい。

「……はい。分かりました」

「でも、無理はしなくていいよ?」

由乃の気持ちが最優先事項だ。

「大丈夫です。私も、ずっとこんなじゃ嫌ですから」


その数日後俺たちは由乃の家の前にいた。