由乃はまだ学校という空間を恐れていた。

学校は怖い場所なのだと、危惧していた。

最初の頃のように、保健室にだけでも行こうという気が特にないようなのは、多分今は家に俺が居るからだろう。

嬉しいことに、由乃は俺に会うために、勇気を出そうとしてくれていたらしい。

けれど、俺が家にいて、会えるならば、学校に行く理由もなくなったと。

遠回しにそう言われた。

嬉しさ半分、申し訳なさも半分。

複雑だなぁ。

俺が一緒に住まなければ、由乃は今頃、少しずつ学校に通えるようになっていたかもしれない。