友達だって仲のいい人は居なかったし、茅実先輩にも、嫌われることが怖くて、お願い出来ずにいた。

でも…この人になら…もうちょっと、素直になっても良いのかもしれない。

私が抱き締められて幸せに浸っていると、茅実先輩が、頭上から話しかけてきた。

「…由乃は抱き締められたいの?」

「…」

茅実先輩の顔には優しい笑顔がある、怒っているわけじゃない。

だから…大丈夫…。

「は、はい。その、きっと、大好きな人に、私は包まれることが好きなんです…」