至上最幸の恋

 オレは絵を描いてばかりで、家のことはほとんど律に任せている。

 だから、余暇の使い方について口出ししたことはない。飲み会で遅くなったり友人の家に泊まったりするのも、これまでに何度かあったことだ。

「さすがに、二日酔いでクラシックコンサートはね……」
「まぁ無理しなくてもいいさ。気にせず、ゆっくりしてきな」
「うん、ありがとう」

 仕方ない。コレットも休みだろうし、慧を誘ってみるか。こんなときは、自分の交友関係の狭さを改めて実感する。

 気を取り直して部屋に戻ろうとすると、律が後ろから抱きついてきた。

「……まだ、描くの?」

 珍しいな。どちらかというとスキンシップも淡泊で、自分から甘えることは少ないのに。

 少し絵に没頭しすぎたか。最近は夕食時の会話もそこそこに、すぐ制作に取りかかっていたからな。文句を言われたことはないものの、内心思うところはあったのだろう。

「いや、今日はもういいわ。気分が乗らねぇし」
「本当?」

 腰に回された律の腕を取って振り向くと、じっと見つめられる。いつもは伏し目がちだが、真っすぐな視線だった。

「ああ。たまには、夫婦らしいことでもするか」
「ふふ、なにそれ」
「スキンシップだよ」

 最後に律を抱いたのは、いつだっただろうか。
 そんなことを考えながら、見上げてくる律に口づけをした。