至上最幸の恋

「いらっしゃ……おう、エリサちゃんか。久しぶりだな」

 お店のドアを開けると、慧さんが笑顔で出迎えてくれた。
 歳を重ね、顔のしわも増えたけれど、温かい雰囲気はまったく変わらないわ。

「ちょっと、お散歩しにきました」
「横浜から散歩ねぇ」
「ふふ。主人のお仕事にくっついてきたんです」
「そりゃ、仲のよろしいことで」

 そう言いながら、慧さんがミックスジュースを作りはじめる。
 フルーツの爽やかな香りが、カウンター越しに漂ってきた。

 ふと視線を移すと、瑛士さんが描いた瑞巌寺の絵が、あのころと変わらず飾られている。

 このお店は、まるで時間が止まっているようね。慧さんと私は、しわしわになってしまったけれど。

「元気そうでよかったよ。桔平のやつから、様子はたまに聞いていたけどな」
「あら。桔平は、私のことも話すんですか?」
「最近は、ぽつぽつ話すようになったな。愛茉(えま)ちゃんのおかげだ」

 愛茉ちゃん——私のかわいいお嫁さん……になる予定の女の子。彼女に出会ってから、桔平は変わったみたい。

 瑛士さんは桔平のことをずっと気にかけていたけれど、いまの桔平を見たら、きっと喜んでくれるわ。

「あんなにクソガキだったのに……やっぱり瑛士に似て、桔平も女性を見る目があるんだな」
「まぁ。それは、私を褒めてくださっているんですか?」
「そりゃそうだ。はい、どうぞ」

 昔から変わらず大好きなミックスジュースが、目の前に置かれた。