至上最幸の恋

 エリサにそっくりなさくらは、お喋りが好きでおっとりした性格。楓の顔はオレに似ていて、勝ち気で負けず嫌い。

 そして末っ子の桔平は、なんとなく芸術家肌のような気がする。三者三様とは、まさにこのことだな。

「お姉ちゃん、ずるい! 楓が勝ってたのに!」
「楓ちゃんが、しっかり数えていないだけでしょー」

 また姉妹喧嘩が始まった。喧嘩と言っても、気の強い楓が一方的に食ってかかっているだけだが。

「はぁい、おやつの時間ですよ。手を洗っていらっしゃい」

 こういうときは、非常にいいタイミングでエリサが登場する。たまたまなのか計算なのかは、いまだによく分からない。

 そして、喧嘩をしているとおやつ抜きになることを知っているので、さくらと楓はあっさり仲直りする。いつもの光景だ。

「どうぞ、瑛士さん」
「あぁ、ありがとう」

 桔平をゆりかごに寝かせて、紅茶とクッキーを味わうことにした。

 この味は、あのころと変わらない。10年以上も前なのに、いまだに瑞々しいまま心に残っている。

「なぁ、エリサ」
「なんですか?」
「あのときプロポーズしてくれて、ありがとうな」

 エリサは一瞬目を見開いたあと、柔らかく笑った。

「私のほうこそ、結婚してくださってありがとうございます」

 洗面所から、さくらたちの元気な声が聞こえてくる。桔平は楽しそうに、あうあうと声を上げていた。

 エリサと笑顔を交わし、家中に満ちる声へ耳を澄ませる。
 そして、この穏やかで尊い時間を、ゆっくりと噛みしめた。