至上最幸の恋

「そ、その……深夜に殿方のお宅へ上がるということが、一体どういう意味なのか、あの、私も子どもではないので理解しております。つまり私はもう、しっかり覚悟を決めていまして……」
「分かった、分かった。とりあえず落ち着け」

 次第に前のめりになるエリサを、笑いを堪えながら両手で制した。相変わらず、一直線だ。

「エリサの心意気は分かったよ。だから次は、オレの気持ちを伝えさせてくれ」

 オレの言葉に、エリサは素直に頷いた。

 たとえ覚悟を決めていると言われても、やはり順序というものがある。いろいろとすっ飛ばしたい気持ちはあるものの、エリサとは丁寧に向き合いたいと思った。

「……オレは、言葉が苦手だ」

 なにから、どう伝えればいいのか。考えがまとまらないまま、口を開いた。

「エリサのように、自分の気持ちを真っすぐ表現できない。適切な言葉を探しているうちに、なにも言えないまま終わってしまう。そのせいで律を傷つけたし、父ともろくに話せなかった。いつも後悔ばかりだ」

 もっと言葉にしていれば。もっと会話をしていれば。そんな思いが、何度も頭の中を駆け巡っている。

 気持ちを伝える方法はいくらでもある。そう分かっていたはずなのに、父が亡くなって、また同じ後悔に襲われた。