「オレは律を見ていなかった。絵のこと……自分のことばかりで、夫としてなにもできなかった。責任があるのは、オレのほうだ」
「そんなこと」
「オレが未熟だったんだ。夫としてだけじゃない。画家として、人としても。だから謝った」
オレはあまりに未熟で、自分勝手だった。これは、そんな人間が家庭を持った結果だ。
浮気や嘘を擁護するわけではない。その行為自体が許されるとは思わない。ただ、原因の一端がオレにあるのは明らかだ。
おそらく律は、平然と浮気できるタイプではない。膨らみすぎて行き場を失った不安を、その男が受け止めてくれたのだろう。
本来であれば、それは夫の役目だ。それなのにオレは、律とまともに会話もせず、絵のことばかり考えていた。
「部屋にこもって絵を描いてばかりで、妻の不安にも気づけない。そんな人間だから、オレは」
「違う、悪いのは私。あなたの……画家の妻になる覚悟が持てなかった、私が悪いの」
律は涙を流したまま、首を横に振った。
こんなふうに感情をむき出しにする姿は、初めて見たかもしれない。
「あなたと別れたいわけじゃなかった。本当は、もっとちゃんと支えたかった。私が、自分の弱さに負けただけなの」
「オレは、それに気づけなかったんだよ」
濡れた瞳で、律がオレを見つめる。
きっと、サインはあったはず。オレが目を向けようとしなかっただけだ。
「そんなこと」
「オレが未熟だったんだ。夫としてだけじゃない。画家として、人としても。だから謝った」
オレはあまりに未熟で、自分勝手だった。これは、そんな人間が家庭を持った結果だ。
浮気や嘘を擁護するわけではない。その行為自体が許されるとは思わない。ただ、原因の一端がオレにあるのは明らかだ。
おそらく律は、平然と浮気できるタイプではない。膨らみすぎて行き場を失った不安を、その男が受け止めてくれたのだろう。
本来であれば、それは夫の役目だ。それなのにオレは、律とまともに会話もせず、絵のことばかり考えていた。
「部屋にこもって絵を描いてばかりで、妻の不安にも気づけない。そんな人間だから、オレは」
「違う、悪いのは私。あなたの……画家の妻になる覚悟が持てなかった、私が悪いの」
律は涙を流したまま、首を横に振った。
こんなふうに感情をむき出しにする姿は、初めて見たかもしれない。
「あなたと別れたいわけじゃなかった。本当は、もっとちゃんと支えたかった。私が、自分の弱さに負けただけなの」
「オレは、それに気づけなかったんだよ」
濡れた瞳で、律がオレを見つめる。
きっと、サインはあったはず。オレが目を向けようとしなかっただけだ。



