至上最幸の恋

「ずっとって……」
「あっ、信号が青になりました」
「おっと」

 磯崎さんが、ゆっくりと車を発進させる。土曜の夜だからか、道は少し混んでいるみたいね。

「ずっとって、そんなに前からなの?」
「えぇっと。瑛士さんと出会ったのは、3年前で……」

 改めて尋ねる磯崎さんに、私はぽつりぽつりとこれまでのことをお話しした。

 留学先のウィーンで、私が瑛士さんにひとめ惚れしたこと。絵のモデルを頼まれたこと。私のせいで、連絡がつかなくなってしまったこと。そして、今年の春にようやく再会できたこと。

 感情がこみ上げて支離滅裂になってしまった私の話を、磯崎さんは遮らずに聞いてくださった。

「……そっか。やっと会えたのに、浅尾さんは結婚されていたんだね」
「はい、とても悲しかったです。でも瑛士さんほどの方なら、素敵な奥さまがいらして当然ですもの」

 そう思おうとしてきたのに、私の心は少しも言うことを聞いてくれない。瑛士さんを想うことを、まったくやめてくれないの。

 最近は、そのことに対する罪悪感も芽生えてきた。
 瑛士さんには、律さんというとても素敵な奥さまがいらっしゃるのに。たとえこの想いを口にしなくても、一方的にお慕いしているだけでご迷惑なのではないかと思うと、胸が苦しかった。