「今日はエール・ジャポンです。撮影自体は順調だったんですが、ロケ地からの帰り道が少し渋滞していて、到着が遅れました」
「エール・ジャポンかぁ。俺には縁がないハイファッション誌だな」
慧が肩をすくめた。
オレには縁がないどころか、名前すら覚えがない。しかし、どんな雑誌かは、なんとなく察しがつく。
エリサのイメージであれば、ティーン向けよりも洗練されたハイブランドのほうが似合うだろう。
「どこでロケだったんですか?」
「湘南です」
「へぇ。それなら、瑛士の実家に近いじゃんか」
「まぁ、そうなのですか?」
エリサが、磯崎を押しのける勢いで前のめりになる。思わずコーヒーをこぼしそうになり、磯崎は苦笑した。
「瑛士さんは、神奈川のご出身なのですか?」
「鎌倉だよ。大仏様のお膝元」
そういえば、この話はしていなかったか。エリサは妙に目を輝かせている。
「慧さんと浅尾さんは、高校の同級生なんですよね。鎌倉の高校ですか?」
「いえ、都内の高校です。父の仕事の都合で、中2からはこちらで生活をしていました。オレは鎌倉に残りたかったんですけど、うちは父子家庭なので」
オレが11歳のとき、母は癌で亡くなった。それからは、不器用な父とのふたり暮らしだった。オレが大学へ入学するタイミングで父は鎌倉に戻り、いまもひとりで静かに暮らしている。
「エール・ジャポンかぁ。俺には縁がないハイファッション誌だな」
慧が肩をすくめた。
オレには縁がないどころか、名前すら覚えがない。しかし、どんな雑誌かは、なんとなく察しがつく。
エリサのイメージであれば、ティーン向けよりも洗練されたハイブランドのほうが似合うだろう。
「どこでロケだったんですか?」
「湘南です」
「へぇ。それなら、瑛士の実家に近いじゃんか」
「まぁ、そうなのですか?」
エリサが、磯崎を押しのける勢いで前のめりになる。思わずコーヒーをこぼしそうになり、磯崎は苦笑した。
「瑛士さんは、神奈川のご出身なのですか?」
「鎌倉だよ。大仏様のお膝元」
そういえば、この話はしていなかったか。エリサは妙に目を輝かせている。
「慧さんと浅尾さんは、高校の同級生なんですよね。鎌倉の高校ですか?」
「いえ、都内の高校です。父の仕事の都合で、中2からはこちらで生活をしていました。オレは鎌倉に残りたかったんですけど、うちは父子家庭なので」
オレが11歳のとき、母は癌で亡くなった。それからは、不器用な父とのふたり暮らしだった。オレが大学へ入学するタイミングで父は鎌倉に戻り、いまもひとりで静かに暮らしている。



