至上最幸の恋

「ねぇ。律さんも、こっちに座りなよ。その酔っ払いふたりは放っておいてさ」

 慧がカウンター席へ、律を手招きする。
 遠慮がちに頷き、律はオレの隣に腰を下ろした。

「瑛士さん。桂木さまとお話している方は、どなたですか?」

 磯崎の向こう側から、エリサが顔を覗かせた。

「旧友の秋津幸太郎。東央新聞の文化事業部にいて、オレに桂木さんを紹介してくれたんだよ」

 もう一度、幸太郎に視線を向けた。なぜか泣き出している桂木さんの肩を抱きながら、真っ赤な顔で何度も頷いている。

「エリサのことを紹介してくれって言われていたんだけど……こりゃ無理そうだな」
「ふふふ。おふたりとも、楽しそうですね」

 微笑みながら、エリサは持参のミネラルウォーターをひと口飲んだ。

「あれ、エリサちゃんは飲まないの? ミックスジュースを作ろうか?」
「ありがとうございます、慧さん。でも、この時間の飲食は控えているんです」
「あぁー、モデルだもんね。そりゃそうか」
「また改めて、ミックスジュースを飲みにまいりますわ」
 
 エリサが多忙な合間を縫って、何度かコレットに足を運んでいたのは知っている。ミックスジュースが特に気に入って、毎回注文していると慧から聞いた。この話だけは、なぜか覚えている。

「それで、磯崎さん。今日は、なんの撮影だったんですか?」

 慧はすっかり喫茶店のマスターに戻っている。