至上最幸の恋

「こんばんは」
「え……磯崎貴也?」

 予想外の客の登場に、最初に声を上げたのは幸太郎だった。律はきょとんとした顔をしている。
 慧が彼を呼んだのかと思い視線を向けたが、目を丸くし、勢いよく首を横に振った。

「……あれ、エリサちゃん、僕のことはまだ話していなかった?」

 微妙な空気を察して、磯崎が頭を掻く。
 なるほど。エリサと一緒に来て、車を停めに行っていたのか。

「すみません、奥さまと話が弾んでしまって」

 そう思っているのは、エリサだけだろう。律は苦笑いを浮かべた。

「今日は、エリサちゃんと同じ現場だったんです。そこで浅尾さんの受賞をお聞きして、直接お祝いをお伝えしたくて。彼女を送りがてら、お邪魔しました」

 リサイタルの数日後、磯崎は本当に桂木さんのギャラリーを訪れたらしい。オレの絵を見て、かなり興奮していたと桂木さんが笑っていた。
 世間で言われている姿とは、ずいぶん違う。非常に律儀で、誠実な男だ。

「浅尾さん。この度は、本当におめでとうございます」
「わざわざ、ありがとうございます」
「急だったもので、なにもお祝いを準備できず……花は、エリサちゃんがたっぷり持ってきちゃいましたし」

 磯崎の言葉に、エリサは恥ずかしそうに俯いた。