やはり変わっていない。彼女はいつでも、瑞々しくて純粋だ。さまざまな色が混濁した業界に身を置いても、その輝きが失われることはないだろう。
日陰から見上げる光は、あまりに眩しかった。しかしひとつ山を超えたいまは、その眩しさを正面から受け止められる。
「あの……素敵なお花を、わざわざありがとうございます」
「奥さまも、お花がお好きなのですか?」
「好きというか……えっと……綺麗ですよね」
「奥さまは、どの花がお好みですか?」
律がぎこちなく笑い、ちらりとこちらを見る。露骨ではないが、明らかに助けを求めている目だった。
律は人見知りだ。いきなり距離を詰めるエリサの勢いは、少々きついだろう。
「こんな大きな花束、どうやって持ってきたんだ。タクシーか?」
ふたりの会話が途切れた隙に、花束をカウンターに置きながら声をかける。
するとエリサはぱっとこちらを向き、なにかを思い出したような表情で、両手を軽く打ち合わせた。
「そうですわ、お伝えし忘れておりました」
「なにをだ?」
「実は」
そのとき、入口のドアベルが軽やかに鳴った。
振り向いた先に立っていたのは、まるでファッション誌から抜け出してきたかのような、端正なジャケット姿の男。磯崎だった。
日陰から見上げる光は、あまりに眩しかった。しかしひとつ山を超えたいまは、その眩しさを正面から受け止められる。
「あの……素敵なお花を、わざわざありがとうございます」
「奥さまも、お花がお好きなのですか?」
「好きというか……えっと……綺麗ですよね」
「奥さまは、どの花がお好みですか?」
律がぎこちなく笑い、ちらりとこちらを見る。露骨ではないが、明らかに助けを求めている目だった。
律は人見知りだ。いきなり距離を詰めるエリサの勢いは、少々きついだろう。
「こんな大きな花束、どうやって持ってきたんだ。タクシーか?」
ふたりの会話が途切れた隙に、花束をカウンターに置きながら声をかける。
するとエリサはぱっとこちらを向き、なにかを思い出したような表情で、両手を軽く打ち合わせた。
「そうですわ、お伝えし忘れておりました」
「なにをだ?」
「実は」
そのとき、入口のドアベルが軽やかに鳴った。
振り向いた先に立っていたのは、まるでファッション誌から抜け出してきたかのような、端正なジャケット姿の男。磯崎だった。



