至上最幸の恋

「この街にとって、オレは異質じゃないのか?」
「異なるものが融合すると、思いもよらない美しさが生まれるだろう?」

 そう言われて、なぜかエリサの顔が浮かんだ。
 オレと彼女は、明らかに異質だろう。だから無性に気になるのだろうか。

 それからしばらくラウロの散歩に付き合って宿へ帰ったが、寝る直前まで、あの笑顔が頭から離れなかった。

 翌日、エリサへの手土産を選ぶため、午前中から街を散策した。
 しかしなにがいいのか、まったく思い浮かばない。当然といえば当然だ。あまりにも、エリサのことを知らなさすぎる。

「エイシが一生懸命考えたものなら、なんでも嬉しいに決まっているだろう」

 3時間ほど彷徨って一度宿に戻ると、ラウロが呆れたように言った。

「考えるにしても、相手のことを知らなさすぎるんだよ」
「関係ないさ。彼女の姿を思い浮かべたら、贈りたいものと自然に出会えるはずだよ。俺はいつも、そうしているよ」

 ラウロには国に婚約者がいて、この旅から帰ったら結婚式を挙げるらしい。
 なんでも、ずっと隣の家に住んでいる幼なじみで、物心つく前から一緒にいたそうだ。そりゃ、贈りたいものもすぐ思い浮かぶだろう。
 
 ラウロは役に立たないので、昨日買っておいたパンで昼食を済ませてひと息ついたあと、スケッチブックを持って再び街へ出た。