至上最幸の恋

 メディアに出れば、エリサに魅了される人間はごまんといるだろう。実際、彼女が表紙の雑誌を手に取る女性を、本屋でよく見かけるようになった。

 いつの時代も、女性からの支持は大きな強みだ。恵まれた容姿と類まれな才能、そして人を惹きつける魅力を兼ね備えたエリサは、20代の女性たちの、ちょっとした憧れの存在になりつつあるらしい。

「お、いまからこっちに向かうってよ、エリサちゃん」

 慧のポケベルに、エリサからメッセージが届いたらしい。

 そういえば、オレからエリサのポケベルにメッセージを送ったのは、絵の完成報告の一度だけだな。「エガカケタ」と送るだけで、やたら時間がかかった。こんなものを頻繁に送り合う女子高生の気持ちが、まったく分からない。

「いつの間にエリサにポケベルの番号を教えたんだよ」
「お前が必死に絵を描いている間にだよ。瑛士もいい加減、ポケベル持てよ。あると便利だぞ」
「私が何度言っても『いらない』って言って聞かないのよ」
「たった5文字を送るのに、10桁だぞ? しかも、入力した文字が合っているかどうか確認できねぇし。そんなこと、いちいちやってられるか」

 慧と律が、呆れたように肩をすくめた。

 こんな小さな電子機器に、時間を取られてたまるか。1文字を送るのに2桁の数字を打ち込むなんて、どう考えても非効率だろう。どこが便利なんだ。