「いやぁ、本当に嬉しいねぇ。君の才能は疑っていなかったけれど、こうして形になると、また格別だ」
桂木さんは、すっかり上気した顔でグラスを傾けている。あまり酒が強いほうではないらしい。
「桂木さんのおかげです。あのひと言で、霧が晴れました」
「いやいや。他人の言葉を受け入れて、それを作品に昇華させられたのは、紛れもなく君自身の力だよ。本当におめでとう」
受賞を心から喜んでくれただけでなく、すぐにいくつか仕事を回してくれた。桂木さんには、頭が上がらない。
日展は賞金が出るわけでもないし、まだまだ絵の収入だけで生活するのは難しいが、少しだけ道筋が見えた気がする。
「エリサちゃん、まだかな」
慧が腕時計を見て呟いた。
いつの間にか慧はエリサと親しくなっていて、今日の祝賀会にも誘ったらしい。しかし仕事が詰まっているらしく、少し遅れるとのことだった。
「18時には撮影が終わるって、言っていたんだけどな」
「時間が押すこともあるだろう」
「大変だよな、モデルの仕事も。集合は朝の6時だとよ」
「エリサちゃんって……もしかして、エリサ・ラハティ?」
慧とオレの会話に、幸太郎が割り込んできた。高校の同窓で、いまは新聞社の文化事業部に勤めている。
桂木さんは、すっかり上気した顔でグラスを傾けている。あまり酒が強いほうではないらしい。
「桂木さんのおかげです。あのひと言で、霧が晴れました」
「いやいや。他人の言葉を受け入れて、それを作品に昇華させられたのは、紛れもなく君自身の力だよ。本当におめでとう」
受賞を心から喜んでくれただけでなく、すぐにいくつか仕事を回してくれた。桂木さんには、頭が上がらない。
日展は賞金が出るわけでもないし、まだまだ絵の収入だけで生活するのは難しいが、少しだけ道筋が見えた気がする。
「エリサちゃん、まだかな」
慧が腕時計を見て呟いた。
いつの間にか慧はエリサと親しくなっていて、今日の祝賀会にも誘ったらしい。しかし仕事が詰まっているらしく、少し遅れるとのことだった。
「18時には撮影が終わるって、言っていたんだけどな」
「時間が押すこともあるだろう」
「大変だよな、モデルの仕事も。集合は朝の6時だとよ」
「エリサちゃんって……もしかして、エリサ・ラハティ?」
慧とオレの会話に、幸太郎が割り込んできた。高校の同窓で、いまは新聞社の文化事業部に勤めている。



