至上最幸の恋

「瑛士、おめでとうー!」

 慧の声に、クラッカーの乾いた破裂音が重なる。宙に飛び出した色とりどりの紙テープが、視界を塞いだ。その隙間から、桂木さんや律の笑顔が揺れて見える。

 日展に出したオレの絵が、最高賞である内閣総理大臣賞に選出された。
 今日はその祝いということで、コレットでささやかなパーティーを開いてもらっている。

「さ、たっぷり食えよ。お前のために、たんまり作ったんだからな」
「ああ、ありがとう」
 
 テーブルには、慧と律が腕を振るった豪華な料理が並んでいる。ローストビーフやサンドイッチといった洋食だけでなく、桜エビと枝豆のおこわ、肉じゃが、鮭の南蛮漬けなど、オレの好きな和食も用意されていた。

「はい、あなた」

 律が甲斐甲斐しく料理を取り分けてくれる。いつもはどこか醒めた目をしている彼女が、今日はやけに機嫌がいい。

 一番意外だったのは、この受賞を律が思いのほか喜んでくれたことだ。これまでは絵で食っていくことにいい顔をしていなかったが、これでようやく認めてもらえたのかもしれない。

 エリサのリサイタル以降、あれだけ悩んでいたのが嘘のように、制作は一気に進んだ。次々に着想が湧き、筆が止まらなかった。無我夢中で描き上げた絵が受賞したので、正直ほっとしている。