「あの……休憩中に描かれたスケッチを、見せていただけませんか?」
わずかな時間でざっと描いたものなので、本来ならば他人に見せるようなものではない。しかし宝石のように澄んだ瞳で見つめられると、無下に断ることはできなかった。
「えっと、差し支えなければ、ですが」
「ああ、いいよ」
バッグから取り出したスケッチブックを開くと、エリサだけでなく慧も覗き込んできた。
「おお。相変わらず、すごいな」
「これ、20分で描かれたのですか?」
「20分あれば、このぐらいは描けるさ」
短時間で対象物を平面に落とし込むのは、昔から得意だった。
複雑な形を削ぎ落とし、モチーフの核だけを拾い上げる。速写とはそういうものだ。しかし最近の自分は、物事の本質が見えなくなっていると感じる。
やはり一度、基本に立ち返るべきか。
「エリサさんへの花束は忘れるくせに、スケッチブックだけはしっかり持ってくるんだもんなぁ」
「ふふ、瑛士さんらしいですね」
言ったあと、エリサは慌てて口元を押さえた。
「すみません、出過ぎたことを申しました」
「いやぁ、よく分かっているね、エリサさん。こいつは昔から、絵のことばっかり考えているんだよ。熱中すると、寝食を忘れがちだしな」
慧が呆れ顔で言う。その通りなので、一切反論できない。
わずかな時間でざっと描いたものなので、本来ならば他人に見せるようなものではない。しかし宝石のように澄んだ瞳で見つめられると、無下に断ることはできなかった。
「えっと、差し支えなければ、ですが」
「ああ、いいよ」
バッグから取り出したスケッチブックを開くと、エリサだけでなく慧も覗き込んできた。
「おお。相変わらず、すごいな」
「これ、20分で描かれたのですか?」
「20分あれば、このぐらいは描けるさ」
短時間で対象物を平面に落とし込むのは、昔から得意だった。
複雑な形を削ぎ落とし、モチーフの核だけを拾い上げる。速写とはそういうものだ。しかし最近の自分は、物事の本質が見えなくなっていると感じる。
やはり一度、基本に立ち返るべきか。
「エリサさんへの花束は忘れるくせに、スケッチブックだけはしっかり持ってくるんだもんなぁ」
「ふふ、瑛士さんらしいですね」
言ったあと、エリサは慌てて口元を押さえた。
「すみません、出過ぎたことを申しました」
「いやぁ、よく分かっているね、エリサさん。こいつは昔から、絵のことばっかり考えているんだよ。熱中すると、寝食を忘れがちだしな」
慧が呆れ顔で言う。その通りなので、一切反論できない。



