部屋の温度を高くしていたからか、服は乾いていた。
ブーブーとスマホがバイブ音を鳴らして、バッグの中からノロノロと取り出すと翔琉からの着信だった。
『美海!どこにいるんだよ!昨日一晩中電話したんだよ』
一晩中……?
「ごめん……ちょっと会社でトラブルがあって泊まり込みになっちゃって、スマホ見る暇もなかった」
嘘―――着いちゃった。
『そっか……でも俺美海の会社にも電話したんだけど、帰ったって言うし…ホントに会社に居たのか?』
「よ、呼び戻されちゃって」
『そう言うことなら一言言ってけよ。心配したんだぞ』
「うん、ごめんね。今日は会社に直接向かうから。朝ごはんごめん」
今日は―――まだ、翔琉の顔を見られない。
ホテルを出ると、昨日の激しい雨はまるで嘘のように去っていてからりとした秋空が広がっていた。そこで持っていた筈の傘がなくなっていることに気付いたが、どこでなくしたか覚えていない。昨日は色々あったから。それこそ台風並みに。
そんな秋空の下、そのまま会社に向かうと、ロッカールームで
「あれ?先輩昨日と同じ服~」と後輩の女の子がにまにま。
めざといな。
「ああ、昨日疲れてそのまま寝ちゃって。シャワーは浴びてきたけど服選んでる余裕がなくて」
く、苦しい言い訳~……
「先輩ってぇ彼氏と住んでるんですよね」
と、突如話題をフラれギクリと制服を取り出す手が止まった。
「いいんですよ、たまには違う所に泊まりたくなりますよね」
どうやら後輩の女の子は翔琉と家ではない違う場所に泊まったと思ったようだ。
「はは……」私は苦笑いを漏らすしかできなかった。



