こうして誕生日デートを終えると、また次の日から水泳部の練習に励んだ。
プールサイドでストレッチをしていると、沙羅先輩が無表情に近づいてきて
「昨日、体調不良で休んだらしいけど、今日はもう大丈夫なの?」と初めて優しい言葉を掛けられた。
正直、びっくりした。
「あ、はい!もう熱もひいたんで」
「そ、他の部員に移さないでよ」
沙羅先輩はそれだけ言って長い髪を振って行ってしまったが、正直拍子抜け。『風邪ごときに休んでるんじゃないわよ』とか言われそうだったから。
でも、何も言われず良かった―――
しかしそれはこれから起こる事件の幕開けにしか過ぎなかった。
それから二週間経った。
プールの水温が徐々に下がってきた時期、簡易シャワーでシャワーを浴び終えると、更衣室に向かった。
着替えをしようと水着の肩ひもに手をかけたとき、ふと人の気配を感じた。今日、私は自主練で一人残って泳いでいたから他の部員は帰った筈……
誰だろう、まだ私のように残って自主練してた人が居たのかな、と思って顔を上げると誰だか知らないちょっとチャラそうな男の人たちが入り口から入ってきた。見慣れない顔だった。アーティスティックや水球部門の部員の顔は大体覚えているけれど、その誰とも当てはまらない。
「ここ、女子更衣室ですよ」何となく嫌な予感と言うのが働いたのか一歩後退すると、三人入ってきた男の人の一人がこちらに向かってきて私の腕を掴んだ。
急なことで声も出せず、
な、何!?と目を開いていると
「悪いな、あんたにゃ恨みがないんだけど頼まれたからさぁ」と言いくちゃくちゃと音を立ててガムを噛みながらどこか下品な笑顔を浮かべて「おい、来な。オタノシミの時間だ」と男が言い、さらにもう二人に囲まれた。もう一人に腕を掴まれロッカーに張り付けにされる。
頼まれた!?誰に!?
「お、結構可愛いジャン。俺のタイプ」ともう一人が私の顔を覗き込んできて顎を持ち上げられる。顔を近づけられて反射的に顔を逸らすと
「お高くとまってんじゃねぇよ」と言われ平手打ちが飛んできた。
したたか頬を打たれて、打たれた場所が熱を持ったように熱い。
何で!?誰なの!?
頭が混乱と恐怖に陥る。
「沙羅に頼まれたんだよねー、生意気な後輩が居るって」
「でもそれ程生意気そうには見えないけど?どっちかって言うと従順そうじゃね?」
「まぁどっちてもいいじゃん。顔もそこそこ可愛いし、お!胸結構あるじゃん」と言って肩ひもの中から男の手が水着の中に入り、私の胸を鷲掴みにする。
沙羅先輩の―――!?
「や――――!」声を出そうと思ったけれど恐怖で喉の奥で声が絡まった。
男の一人が私の首元に顔を埋め、なまぬるくてざらざらとした不快な感触の舌が私の首を嘗め回す。
「やめ!やめてください!」必死にもがくも、それが悪かったのか私の水着がはだけて裸の胸が水着から零れ落ちた。
「おお!いいね!」男たちはズボンのファスナーを下げ、さらに私の胸へと手を伸ばしてきた。
その時だった。



